物損事故で処理したがむち打ちに…人身事故に変更できる?
交通事故の中で怪我がむち打ち症状のみで収まるような軽微な事故は、事故現場で「両方の車も軽微な修理で済みそうなので、お互い自分で修理するので手打ちにしましょう。」と口頭での示談で済ませてしまうことがあります。
「交通事故で警察を呼ぶのがめんどうくさい。」「保険を使って修理をしたら保険料が上がるから、自費の方が良い。」といった思惑の外に、『事故による罰則の回避』という側面もあります。
物が壊れただけの交通事故であれば物損事故として取り扱われ、道路交通法上では罰則規定にはかからず、相手方への物品の損害賠償だけで済みます。
しかし、むち打ちなど身体的な傷害を相手方に与えてしまっている場合には、人身事故となり罰則があります。
相手の治療期間が15日未満ならば、罰点2~3点・罰金12万円~20万円、15日以上30日未満ならば、罰点4~6点・罰金15万円~30万円となります。
もし、交通事故の相手方がむち打ちで全治15日の診断が下りた場合、「自動車保険に入っているし、心配ないや。」と軽く考えていたら、最悪罰金30万円・罰点6点で免許停止も考えられます。
小さな違和感でもすぐに診断を受ける
「でも、事故現場で相手方と物損事故で済まそうと言っていたので、いまさら人身事故に切り替えることは出来ないのでは?」と思うかもしれませんが、場合によっては人身事故に切り替えることができます。
一番の大きなポイントは、警察を呼んでいるかどうかです。
事故が起きた際には警察を呼ばなければいけないと法律で定められてはいるのですが、軽微な事故ではついついおろそかになってしまいます。
しかし、警察を呼んでいないと後でむち打ち症状が出たとしても、事故があった証明をすることが難しくなります。
事故当時警察を呼んで事故の検分をしてもらっているのであれば、むち打ちの診断書を添えて警察に人身事故への切り替えを申請すればよいです。
その際、診断書がなく自己申告である場合や、事故から数日たって初めて受診したという場合には、事故によるむち打ち症状とは認められず、人身事故に切り替えができないこともあります。
事故当時や事故が起きた翌日に少しでもむち打ちの症状が出ているのならば、医療機関にかかって診察しておくことをお勧めします。
一度診察を受けておけば、後日人身事故に切り替える際の診断書もとることができます。
中にはお互いに物損事故で済ますと言っていたからむち打ちの症状が出ても我慢していたのに、相手の方が人身事故に切り替えて、自分だけが人身事故扱い・相手方は物損事故扱いの罰則しか受けず、あとで大きくもめるといったこともありますので、人身事故にするしないにかかわらず、診察は受けておいた方が良いでしょう。
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軽い事故だからと物損事故で済ませて、後にむち打ちなどの症状が出ても、人身事故に切り替える際に問題が生じる場合もあるため、事前に人身事故になる可能性もあると相手方に伝えておく方が良い。
整体院のみでむち打ちの治療を行う場合、病院で治療を行うよりも治療費の打ち切りが行われる可能性が高くなるため、注意が必要である。
むち打ちの治療のために薬が必要となった場合、相手側に請求できるのは医師が診察の上で発行された処方箋の薬の購入費用のみになるため、自己判断で購入した薬は自己負担となり請求できない。
交通事故後、むち打ちを放置しておくと色んな所に症状が出て治るまでに時間がかかったり、後遺障害等級認定を受けられなくなって賠償金額がダウンしてしまうリスクがある。
交通事故でむち打ちを負ったのに人身事故として警察に届けないと、治療費や通院慰謝料などが自賠責保険からもらえなくなるので、医療機関で診断を受けて人身事故として警察に扱ってもらうべきである。