交通事故から数日後にむち打ちの症状が出るメカニズムとは
交通事故によるむち打ちで厄介なのが、「交通事故から数日たって、むち打ちの症状が現れる」というケースが多数あるということです。
交通事故を起こした当初は「大丈夫です」と言っていた相手が、数日後に「実はむち打ちの症状が出て」と申し出てきた場合、「保険金目当てで言ってきたのではないか?」と勘繰ってしまうことがあるのではないでしょうか?
実は、交通事故から数日たってからむち打ちの症状が出るのには、いくつかの理由があります。
1つは、むち打ちの原因の多くが捻挫、つまり筋肉痛によるものであるということです。
実は筋肉痛には、現発性筋肉痛と遅発性筋肉痛の2種類があります。
現発性筋肉痛は使っている時に痛みを感じる筋肉痛で、重いものを持った時に筋肉に負荷がかかることで感じる痛みです。
一方、遅発性筋肉痛は筋肉の使用から半日から数日後に現れる痛みで、筋肉が損傷したことにより炎症を起こしたり、損傷や炎症を修復するために自己治癒を行っている際に現れる痛みだと考えられています。
よく、「若いころは筋肉痛が翌日にでたのに、2日後に出るようになったから年を取ったな」という意見を聞きますが、当たらずとも遠からずで、加齢により自己治癒のスピードが遅くなっていることも一因として考えられます。
心因的な要因で発症が遅れることも
もう1つ考えられるのが、むち打ちの原因が交通事故だということです。
交通事故というのは普通の人からすれば、非日常の未知の体験になります。
心理学的に人は未知の体験をしたり非日常の状態に置かれると、精神的な興奮状態となったり、パニック状態になったりします。
人によっては思考の鈍化や停止もあり、交通事故直後は「普通の精神状態ではない」ということになります。
交通事故でも、「骨折しているのに交通事故当時は痛みを感じなくて、病院について治療が終わってから激しい痛みに襲われた」というような話をよく聞きます。
これは「交通事故」というトラブルに巻き込まれ、緊張や興奮状態により一時的に脳が痛みの信号をブロックしていたのですが、病院で治療をうけて安心した途端にそのブロックが無くなってしまい、本来の痛みを感じたからということになります。
つまり、本来は交通事故によるむち打ちの痛みが発生しているにもかかわらず、脳が興奮や緊張状態であるために痛みに気が付いていないことがあるのですが、一晩寝たおかげで興奮や緊張状態が解けて、遅れて痛みを感じるということがありえるのです。
もし、自分が交通事故に巻き込まれ、その時はむち打ちがないと思っていても、数日後に現れる可能性もあるということを、心に留めておいた方が良いかもしれません。
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むち打ちになる原因の第1位は交通事故である。交通事故の衝撃で一瞬にして頸椎、椎間板、関節包、頸部の筋肉などを損傷してしまう恐れのある重い傷害である。
交通事故で怪我をした直後は自律神経の中の交感神経が活発に働いていて痛みを感じにくいため、むち打ちは症状を感じにくいと考えられている。
保険会社は交通事故によるむち打ちの治療は認めても、継続治療は認められにくいといった特徴があるため、完治するまではむち打ち患者側も対応策をとる必要がある。
むち打ちとなって治療を受けても症状が良くならないことが明らかになったら、後遺障害診断書を書いてもらえば、むち打ちによる後遺障害等級認定の申請ができる。
むち打ちの症状が長引く原因としては、筋肉組織の重傷、骨の損傷・神経組織の損傷などが考えられるので、MRIを主体とした精密検査をする必要がある。