一般道以外(高速道路や駐車場)での交通事故について
事故の発生した場所による類型です。
ここまでは、基本的に一般道を前提に述べていましたが、本項では一般道以外の場所について少し述べたいと思います。
1.高速道路での交通事故
高速道路は、原則すべての自動車が高速で走り、通常、走行しているのは自動車と、125CC以上の二輪車だけです。
また、交差点はなく、インターチェンジやジャンクションを利用して、進行方向を変えることになります。
そのため、一般道と異なる評価がされる場合があります。
ここでは、一般道の場合と大きく異なる場合について簡単に述べたいと思います。
①追突事故
一般道の場合、追突事故の過失は、追突した自動車に過失があります。
しかし、高速道路の場合、高速での走行が許容され、最低速度を維持する義務があり、原則駐停車は禁止という事情があることから、追突事故が発生した場合には、やむを得ない事情が無い限り、追突された車両にも過失があることになります。
なお、追突された自動車に落ち度が無い場合には、当然、追突した側に過失があります。
高速道路で、特に問題があるのが駐停車していた場合です。
先に述べたとおり、高速道路上は駐停車禁止ですから、自身に過失があり駐停車した後、追突された場合には当然過失があります。
また、もし、本線上に駐停車してしまった場合には、速やかに路肩に退避しなければなりませんし、退避できない場合には、停止表示機材を設置しなければなりません。
そのため、このような義務を果たさなければ、過失が修正されることになります。
②落下物による交通事故
本項では、落下物による交通事故について、先行車両の積荷等が落下した影響で、後続車両に交通事故が発生した場合を想定しています。
高速道路の場合、一般道で課されている、積載物転落等防止義務の他に、交通事故発生を防止するために貨物の積載状態を点検する義務が課されています。
そのため、積載物の落下に対する責任は、より重くなります。
また、後続車両も高速で走行していることから、落下物の危険性の程度を即座に判断して、適切な回避措置を講ずることには、困難を伴うことになります。
そのため、積載物を落下させた先行車両の過失がより大きく評価されます。
③歩行者と自動車との交通事故
高速道路上の歩行者とは、基本的には本線上の歩行者について想定しています。
一般道では、歩行者と自動車との交通事故が発生した場合、自動車に大きな過失が認められます。
しかし、法律上、高速道路には歩行者が立ち入ることは許されず、自動車(二輪車を含む)以外の方法で通行することは許されていません。
そのため、高速道路の本線上に歩行者がいることは、法律上予定されておらず、歩行者に重大な過失があるとされます。
なお、通常、高速道路は見通しがよいことから、歩行者を発見することが必ずしも困難と言えないため、自動車の過失が0にはなっていません。
また、高速道路上に駐車車両がある場合は、工事中であるなど、人が自動車の近くにいると予想でき、運転者も相応の注意をすれば、交通事故回避が出来たと考えられることから、過失割合が修正されます。
2.駐車場での交通事故
駐車場は「道路」ではないため「道路」交通法の適用はありません。
そのため、駐車場で事故を起こしても、違反点数が加算されません。(免許について全く影響がないというわけではない)
一方で、事故で人がけがをしたり、死亡したりした場合には、刑事手続き上刑事罰を受けることもありますし、民事上の手続きでは、道路の交通事故と同じように、損害賠償請求が行われます。
駐車場では、自動車が後退、方向転換を行うことが多く、自動車から歩行者が出てくることが多いことから、走行している自動車の運転者は、一般道路と比べて、より注意深く運転する必要があります。
自動車で通路を走行している自動車同士の事故の場合、基本の過失割合は同じと考えられています。
そして、通路の幅や、一時停止、進行方向表示などの違反が無いかによって、過失割合が修正されています。
また、駐車区画から出る自動車と、通路上の自動車との事故の場合、駐車区画内の自動車の方が容易に安全を確認でき、進行している自動車の進路を妨害するべきでない事から、より重い過失が認められます。
逆に、駐車区画に入ろうとしている自動車と、通路上の自動車との事故の場合、駐車区画に入ろうとしている自動車が、きちんと認識できる状態であったならば、駐車場という性質上、目的に沿って行動している自動車の行動を妨害するべきでないことから、通路上の自動車の過失がより大きく認められます。
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