誰が死亡事故の損害賠償請求をするのか?
交通事故のうちでも、死亡事故は傷害事故と違い、被害者が他界しているので、被害者自身で加害者に損害を賠償請求できないため、被害者に代わって遺族が損害賠償請求することになります。
死亡事故による損害賠償請求権は、本来、亡くなった人が持っていた権利ですが、亡くなられたためにその権利を行使できなくなりました。
ある人が亡くなると、遺産は相続人が相続します。
遺産とは、お金や証券、不動産などの換金でき財産だけではなく、亡くなった人すなわち被相続人が持っていた権利や借金などの負債も遺産に含まれます。
死亡事故で亡くなった人の遺産には、交通事故による損害賠償請求権が含まれているというのが、実務上の考え方です。
被相続人が亡くなる前に交通事故の損害賠償請求権について遺言に明記したり、家族に伝えておかなくても、損害賠償請求権は死亡した人に帰属しているとみなされます。
亡くなった人が身寄りのない人でない限り、亡くなった人が所有していた財産は相続人が相続します。
相続人は、交通事故の損害賠償請求権も相続するので、遺産放棄をしない限り、相続人が交通事故の加害者と損害賠償について話し合いをすることになります。
相続人が2人以上いる場合
加害者が任意自動車保険に加入していれば、保険会社と示談交渉を行うことになりますが、保険会社は、相続人のうちの1人を代表者として話し合いを進めます。
代表者となる相続人は、他の相続人から委任状を受け取って代表者であることを明確にします。
相続人のうちに連絡がつかない人がいる場合や、相続人間で示談交渉に関する意見が一致しないような場合は、示談を進めることができなくなります。
死亡事故に遭われた遺族の方で、相続人が複数いる場合は、示談交渉を行う代表者について考えをまとめておくことが大事です。
また相続人ではないが、死亡事故で亡くなった人と大変近しい関係があったため、被害者が死亡したことで精神的苦痛や金銭的に困難な局面に遭遇することがあります。
たとえば、内縁関係にあった人が死亡事故で亡くなったら、パートナーに相続の権利がなくても、事故により大きな苦しみを負うことになります。
このような場合は、相続人ではない近親者が加害者に対して慰謝料の請求を検討できますので、弁護士にご相談ください。
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死亡事故の慰謝料は、本人に対する慰謝料と近親者慰謝料がありますが、近親者慰謝料を積極的に請求することにより、ご遺族の悲しみを訴えて慰謝料が増額する可能性があります。
死亡事故の被害者に借金があった場合、遺族は相続放棄した方が良いケースもある。相続放棄をすると死亡事故の損害賠償金を受け取れないが、遺族に対する慰謝料などは受け取れる。
死亡事故で歩行者の過失割合が大きい場合には、保険金の減額だけでなく、歩行者の遺族に莫大な損害賠償請求をされる可能性もある。
死亡事故の遺族に対する慰謝料の支払いの範囲は、支払われる親族の範囲は、両親(養父母を含む)・配偶者・子になり、金額もさほど多くない。
死亡事故で多額の死亡保険金が入ると、法定相続割合での相続とならないこともあるので、遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成した方が良い。