家族が死亡事故に遭った場合、示談はいつ行えばよいのか?
家族が交通事故で死亡した場合、遺族は突然の死亡事故で多忙を極めることになります。
まず最初に警察などから死亡事故に遭ったとの連絡が入り、病院などに赴くことになります。
死亡事故の現場で死亡が確認された場合には警察が検死を行い、病院で死亡が確認された場合には医師が検死を行いますが、不審点などがあれば警察による検死がさらに行われます。
そのため、死亡した翌日に葬儀が行えないこともあり、遺体が遺族に戻るまで数日から1週間程度かかる事もあります。
ご遺体が戻られてからは葬儀・火葬と続いていくのですが、同時に死亡届を役所に提出をした後に、健康保険や年金事務所での死亡の手続き、亡くなられた方の勤め先での手続き、銀行や公共料金の支払いの変更などの手続き、相続手続きと、死亡に関する多くの手続きを同時にしていかなければなりません。
平常時でもかなり多いと思われる手続きですが、『死亡事故でいきなり家族を失った』という特殊な状況下でこれらを行わなければならないため、精神的に参ってしまう人もかなり多く、実際に家族の死亡事故を聞いて葬儀にも出られないくらい体調を崩してしまう方もいます。
そのような怒涛の手続きを行わなければならない中で、さらに死亡事故の示談を行わなければいけないため、「死亡事故の示談なんて後回し」と思っている方も多いのではないかと思います。
ベストな示談のタイミングとは?
民法上の死亡事故の示談の時効は5年(2020年3月31日までの死亡事故の場合は3年)ですので、時間があるようにも思えますが、実際には示談をするタイミングはいくつかあります。
1つ目は、死亡事故の被害者の遺産相続が始まった時です。
死亡事故の損害賠償権は、相続権を持つ遺族が法定相続割合分に応じた権利を有します。
つまり、死亡事故以前に故人が遺言書を作成していたとしても、死亡事故の示談金にまで効力が及びません。
死亡事故以前は遺言書の内容で納得していた遺族たちも、示談金が入る事により不公平感が生まれ争いとなる事もあるので、早い時点で示談金の総額を知り、遺族間で話し合う必要があります。
また、借金などの負の遺産があった場合、相続放棄も視野に入れて考えなければならず、相続放棄の手続きは「相続がある事を知って3か月以内(通常ならば死んだことを知って3か月以内)」でなければすることが出来ません。
3か月以内に手続きをしなければ単純相続したとみなされ、交通事故の示談金を受け取れる代わりに借金も負うことになるため、速やかに遺産の調査が必要になります。
2つ目は、加害者に対しての懲罰のタイミングに合わせる方法です。
死亡事故のような交通事故では、刑事裁判が行われるのですが、示談が終わっているかどうかも刑罰酌量に関係しています。
示談が終わっていれば刑罰も比較的軽くなりますし、終わっていなければ通常の刑罰が適用されることがほとんどなので、そこを踏まえて遺族が示談のタイミングを計るとよいでしょう。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
死亡事故の遺族は、葬儀や示談・遺産相続など多数の手続きが必要となってくるため、弁護士にアドバイスをもらいながら手続きを進めていく方が良い。
家族が死亡事故に遭った場合、加害者や加害者側の保険会社との示談交渉のほかに、法律関係の手続きや死亡事故の裁判、遺族の内紛などの問題があるので、弁護士に依頼する利点が多い。
死亡事故の相続人が未成年者の場合には、特別代理人が未成年者の代わりに相続の手続きを行う。特別代理人は相続に関係のないものから、裁判所が認定する。
死亡事故の対応をご遺族で処理するのではなく弁護士に任せる事で、損害賠償金額が増えたり、各種手続きの手間が省けたりと、様々なメリットがある。
死亡事故の遺族が加害者の減刑嘆願をする場合、結審までに示談を終わらせている方が良いが、示談内容に不安があるのならば、弁護士に依頼して示談をすすめてもらうとよい。