死亡事故で会社の経営者が亡くなった場合の逸失利益は?
交通事故で被害者が仕事を出来なくなった場合や死亡事故などで、示談に大きくかかわってくるのが逸失利益です。
逸失利益とは、被害者が交通事故に遭わず一生働けた場合どれだけの収入が得られて、事故によりその収入がどれだけ減ったかを算出したものです。
逸失利益の算出には、死亡事故被害者の年収や年齢から、ライプニッツ係数を用いて計算されるのですが、年収が高かったり年齢が若いほど逸失利益は多くなります。
サラリーマンなどの給与所得者であれば年収を算出しやすくなりますが、自営の経営者は収入の変動があるため、算出が難しくなることもあります。
所得税申告をしている場合には、それに準じた逸失利益を申告すればよいのですが、節税などで収入を大幅に低く申請していたり、納税申告自体をしていない場合には問題となります。
実際は経営者が1000万円ほどを収入として個人消費していたが、ほとんどのものを事業の経費として申告していたため、経営者の収入は200万円と申告していた場合、納税証明などの公的な証明が出来ないため、大変不利と言えます。
家族経営の場合、一層注意が必要
納税証明が出ない場合や、『去年は在庫処分で赤字が出たが、今年は経営が順調』など、経営状態が著しく変わっている場合には、経営者の実質の収入状態を帳簿などから証明することで逸失利益を計算します。
一番困るパターンが、家族経営をしていて家族の収入があいまいなケースです。
『夫が経営者で妻が経理をしていたが、明確に夫や妻に給料という形で払われておらず、会社のお金から生活費がまかなわれていた。』というケースで、妻が死亡事故に遭った場合、共同経営者とするのか、一般正社員並みの給料とするのか、単なる手伝いであったのでアルバイト程度や無給の扱いにするのかで、逸失利益が大きく変わってきます。
このような場合、経営の中で妻が事業の収入に寄与していた割合に対して、逸失利益が認められます。
事業全体の利益が1000万円で妻の事業への寄与が30%とされれば、妻の年収は300万円として逸失利益の計算がなされます。
しかし、死亡事故の遺族側からこのような主張がなされても、加害者側の保険会社がすんなり認めるとは限りません。
『妻が仕事をせずに家にいるので、会社に顔を出す代わりに小遣いを渡す』といったような状態であったのならば、寄与があったとは言い難いです。
また、役員報酬を得ていた場合、役員による利益享受の分と労働による収入は分けて考えられるため、役員報酬で1000万円収入があったとしても、経営には一切かかわっていなかったのならば、全額役員による利益享受とされ逸失利益が認められないケースもあります。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
死亡事故の賠償金を受け取る人は、亡くなった被害者から賠償請求権を相続した相続人である。死亡事故により相続が発生したら、弁護士に相談することが望ましい。
家族が死亡事故に遭った際の弁護士費用には、着手金と成功報酬が含まれる。成功報酬を払っても、賠償金が増額されれば、依頼人にとって大きな経済的利益となるため、まずは弁護士へ相談するのが望ましい。
死亡事故の場合、警察・裁判所・保険会社が死亡事故の遺族の味方とならず、遺族が第二の被害者となるケースもあるため、早目に弁護士に相談をするとよい。
死亡事故で加害者に損害賠償能力がない場合、被害者遺族が十分な損害賠償金を得られないことがあるが、加害者が自動車保険に加入していたのならば、その保険会社に請求できる。
公務員が死亡事故を起こした場合、禁固刑以上の判決が下されると解雇となってしまうため、十分な弁済をしてもらえない危険性がある。