死亡事故加害者の悪質性により慰謝料が増額されたケースとは
結果としては同じ死亡事故であっても、事故の発生状況、事故当時の加害者の状態、被害者の年齢や年収、社会的地位、事故後、加害者が心から反省し誠意を示しているかどうかなど、様々に事情が異なっています。
それほど事例は多くないものの、加害者側に悪質な事由がある場合に、慰謝料が基準値よりも大幅に増額されるケースがあります。
悪質な事由の具体例として、加害者側がひき逃げをした、大幅なスピード違反をしていた、無免許運転、飲酒運転であったといった状況が挙げられ、このようなケースの裁判で、弁護士基準の慰謝料の約1.3倍もの支払いが認められた判例があります。
加害者の態度が悪質な例としては、暴言を吐く、自己保身のためのウソをつく、証拠隠滅を図った、謝罪が一切ない、保険会社任せで事故対応を放置する、加害者が100%悪いにも関わらず被害者が悪いと争っている、といった態度が悪質とされ、やはり慰謝料増額の理由となり得ます。
そのほか、被害者の事情が汲み取られて慰謝料が増額された例として、死亡した被害者が幼児であり、唯一の子であったケースがあります。
悪質な事故に対し被害者遺族ができること
民事裁判では、このように慰謝料を増額することによって死亡事故を起こした加害者の罪の深さを認めさせることしかできません。
しかもその支払いは保険会社が行うものであり、加害者が自己負担するわけではないのです。
被害者とのやり取りで加害者に反省を促すための処罰を下すことはできず、それは行政処分や刑事処分にゆだねるしかありません。
先述のような悪質な事由があるにも関わらず、増額できる可能性を知らなかったり、弁護士基準の存在を知ることなく、任意保険会社が提示する低い慰謝料で示談に応じてしまうと、後になって交渉し直すことはできません。
交通事故の示談では、損害賠償請求の内容、方法によって金額が数百万円単位で変わり、賠償責任が大きい死亡事故ではさらに一千万円以上の違いが出る可能性があります。
また、被害者にとっては悪質でひどいと感じられるような加害者の態度や状況も、慰謝料増額に値すると関係者に認めさせるためには、相応の交渉術が必要となります。
「どうにかならないだろうか」という悩みは、交通死亡事故の問題を多く解決し、事情に詳しい弁護士に相談してみましょう。
疑問を解決し、十分に納得したうえで交渉に臨むことが大切です。
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家族が死亡事故に遭った際に請求できる慰謝料は死亡慰謝料と呼ばれ、死亡した被害者本人に対する本人慰謝料と被害者の近親者に対する慰謝料といった内訳は2種類に分別される。
家族が死亡事故に遭った際の弁護士費用には、着手金と成功報酬が含まれる。成功報酬を払っても、賠償金が増額されれば、依頼人にとって大きな経済的利益となるため、まずは弁護士へ相談するのが望ましい。
死亡事故で亡くなった人と特に親しい近親者は、近親者慰謝料を請求できる可能性があるが、近親者慰謝料を請求するには、精神的な苦痛を受けたことを実証する必要があるため、弁護士に相談するほうが良い。
保険会社が提示する損害賠償金額は、自賠責基準とほとんど差がない。死亡事故の場合の自賠責基準と弁護士基準について見てみると基準額の決め方が異なり、数百~一千万円以上の差が出る可能性がある。
死亡事故における弁護士費用は獲得金額の割合によって決められる。あるいはもともとの提示金から増額させた金額の場合もある。死亡事故の慰謝料の相場は非常に高額になるため、弁護士に相談をするのが望ましい。