こちらのページでは、遷延性意識障害に関して、生活のうえでの注意点や、裁判に勝つためのポイントをお伝えしています。
遷延性意識障害の場合は、事故の直後から病院に搬送され、集中治療室に入ることになります。
このような状況に関して、1つ心得ていただきたいのは、法律的な問題についてはとりあえず今悩む必要性はまったくないということです。
ですから、事故に遭われた直後は、治療に専念してください。
法的な部分についてすぐに悩む必要はないですが、不安であれば、まずは弁護士にお電話していただいて相談されるのもよろしいかと思います。今現在、病院で集中治療を受けているという状態だと伝え、弁護士に相談していただき、今後この事故がどういう風な流れで処理されていくのかを知っておくことでずいぶん安心することができます。
とりあえず目の前の問題として、当面の治療費に関して保険会社に請求しないといけません。こちらに関しては最初の段階で手続きをすれば、すぐに払ってくれる場合が多いです。
最初のテーマとなるのは症状固定と転院の問題
遷延性意識障害の場合、意識が回復しない状況が続くので、どの時点で症状固定となるのかの判断が難しいものです。
基本的には医師の判断に従って良いといえますが、なるべく症状固定というのは先に延ばしたほうが望ましいです。
なぜならば、症状固定したあとは、保険会社の方が治療費を直接支払うのが難しくなるからです。
もちろん、症状固定後に必要になった治療費であっても、遷延性意識障害の場合には当然支払われます。しかし、今月病院に払うお金となってくると、症状固定後には一旦家族が負担しなくてはならないので、それが大きな負担になる場合もあります。
また遷延性意識障害の場合は転院の問題があります。
これはとても理不尽なのですが、医療機関の属性の問題で、3ヶ月に1回程度、病院を変わらなくてはいけません。都会でしたら、一定の病院の数があるので、転々とするのも難しくはありませんが、地方の場合ですと、受け入れてくれる病院の数が多くないので転院自体が困難なこともあります。もし転院の問題などでお悩みでしたら、私たちの経験がお役に立てるかもしれませんので、一度ご相談ください。私たちは弁護士ではございますが、交通事故に遭われた方のお役に立てるべく、日々さまざまな情報を仕入れております。(ご相談はこちらのページからできます。)
遷延性意識障害の裁判での損害賠償額を分ける2つのポイント
遷延性意識障害の場合、裁判での損害賠償額を分ける2つのポイントがあります。ここからが主に、私たち弁護士がお役に立てる部分だといえます。
裁判での1つ目のポイントは、将来介護費の問題です。
遷延性意識障害の場合には通常、今後一生介護が必要になってくることが多いです。
ですので、その介護費用をどのように計算するのかということが問題になってきます。
これは毎日必要なものですから、1日当たりの金額としては大きくないのですが、それが今後何十年も支払いが続くお金になりますので、非常に重要な要素となります。
特に介護費用の中で、職業介護人や職業付添人などの、いわゆるプロの介護人をつける場合など・・・どれくらいプロをつけるのかといった点が重要になってまいります。
この点について数々の遷延性意識障害の事件に携わってきた弁護士からアドバイスしておきたいのは、「家族だけで全て介護しようというのは非常に難しい、困難なものである」ということです。
非常に責任感強い、ある意味非常に立派な親御さんの場合、介護をあまりにも一所懸命にやりすぎて、職業介護人を拒否するケースがたまにあります。
しかし、これは大変危険な事です。遷延性意識障害の被害者の介護は一生続くものですから、精神的にもたないことが多いです。
週2回か3回を目安にプロをつけて、自分が休む日を絶対作らなくてはいけません。
裁判での2つ目のポイントは、自宅の改装費の問題です。
介護を行うにあたって、「今現在の自宅ではどうしても介護することができないので、家を新築、改装する」という事例がよくあります。
たとえば、お風呂の改装、エレベーターの改装など、介護をするためにどうしても必要な費用がこれに相当します。
これについては、全額が認められることは難しいですが、一部は保険会社に請求することが可能です。
この改装費について、裁判での大切なポイントは、「介護をするために絶対に必要な改装である」ということを証拠として示すことです。
介護のために特別必要であると認めてもらうために、「介護計画書を作成する」という方法が裁判の際にとても効果があります。
その介護計画の中に、「こういう設備が必ず必要である」ということが記載されることで、介護の改装に関して客観性が出てきます。
また自宅介護の前に病院で介護を受けているケースもあります。
長期療養施設では、一定程度の長期間の介護をするので、病院の方でも介護計画を作っている事が多いです。カルテを開示してもらい、そのときに病院で作っている介護計画書も裁判の時に役に立ちます。
将来介護費の問題や、改装費の問題などについてのご相談もぜひ弁護士にしていただければと思います。
過去の膨大な経験をもとに、裁判を有利に進めるために大切なポイントを、法的な視点からアドバイスをさせていただきます。
遷延性意識障害に関してのお役立ち情報
遷延性意識障害に関して。治療のことや法的なアドバイスなど、被害者の方のお役にたつ情報をご紹介しています。
以下をクリックしていただければ、記事の詳細が表示されます。
家族が遷延性意識障害となり示談交渉を行う際の注意点
遷延性意識障害の後見人と実質の介護を行う家族が違う場合には、家族の意に沿わない示談を代理人が行ってしまう事もあるので、事前に弁護士に相談をして示談方針を固めておく方が良い。
遷延性意識障害となり示談交渉に身内が介入してきたら?
交通事故で遷延性意識障害となった場合、被害者と被害者の看護をする家族の補償を優先した示談がなされるべきなので、身内からの示談交渉への干渉がひどい場合には弁護士に依頼するとよい。
遷延性意識障害ではどのくらいの医療費控除が受けられるの?
遷延性意識障害患者の医療費を抑えるためには、高額療養費制度や医療費控除を利用するとよいが、毎年改正が行われるため利用条件をこまめにチェックする方が望ましい。
遷延性意識障害患者の自宅介護、リフォーム費用の請求は?
遷延性意識障害の自宅介護のためにリフォームする場合、リフォームの箇所が認められなかったり、加害者側がリフォーム費用を支払ってくれないといったケースがあるため、事前に弁護士に相談をした方が良い。
遷延性意識障害となった際に直面する介護と仕事の両立問題
遷延性意識障害患者家族が介護と仕事を両立したい場合には、『育児・介護休業法』を利用すると、介護も仕事もすることと負担が少なくて済む。
遷延性意識障害患者の自宅介護を保険会社に反対されたら?
遷延性意識障害患者の家族が自宅介護を希望しても保険会社が反対する場合には、自宅介護が行える要件を満たしているのならば、裁判所も自宅介護を認めるため、もめた場合には弁護士に相談をした方が良い。
遷延性意識障害患者の親族が成年後見人になれない理由とは
遷延性意識障害患者の親族が成年後見人となる事は年々難しくなってきており、親族自身が成年後見人になりたい場合には事前に弁護士との打ち合わせが必要になる。
遷延性意識障害の治療で音楽が取り入れられている理由とは
聴覚は五感の中で最後まで遷延性意識障害患者が認識できる器官と言われているため、音楽や声などを患者に聞かせることにより、脳を刺激して活発化させると考えられている。
遷延性意識障害において発生する介護費用について
遷延性意識障害患者の将来的な介護費用は若年の患者であるほど高額となるため、将来的な介護プランをきちんと立ててから、加害者側に請求を行った方が良い。
遷延性意識障害となった場合に選定する成年後見人について
成年後見人は親族が良いとの最高裁判所の見解があるが、遷延性意識障害患者家族の状況によっては成年後見人となることが困難な事もあるので、弁護士に成年後見人となってもらう方法もある。