遷延性意識障害患者に発生する遺言書の問題点

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遷延性意識障害

遷延性意識障害となる以前に遺言書を残していた場合には?

遷延性意識障害

交通事故で遷延性意識障害となった場合、家族や弁護士などが患者の成年後見人となり、患者の代わりに財産管理を行います。

交通事故による遷延性意識障害や重度の脊髄損傷などでは、1億円どころか、患者が10代20代といった若年の場合には3億円を超える損賠賠償金となることもあり、その多額の賠償金の管理が必要となってきます。

そのため、遷延性意識障害患者に絡む相続問題や遺言書の問題が発生することがあります。

基本的に被成年後見人(ここでは遷延性意識障害患者)は意思表示が出来ないため、財産の管理などを成年後見人が代理で行っているのですが、遺言書の作成は成年後見人がおこなうことはできません。

被成年後見人の遺言に関して民法973条では、
1.事理を弁識する能力を一時回復したときであること。
2.医師2名以上の立会があること。
3.立ち会った医師は、遺言者が遺言作成時に精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状態になかった旨を遺言書に付記して、これに署名押印をすること。
と規定しているため、遷延性意識障害患者自身の意思によって、遺言書を作成するのは非常に難しいと言わざるを得ません。

交通事故以前の遺言書の取り扱い

もし、遷延性意識障害患者が交通事故以前に、遺言書を作成していた場合はどうなるのでしょうか?

一般的には遺言書が最優先されますが、相続人の意思により放棄することも出来ますし、相続人の間で相続割合についてもめた際には、裁判所の判決、または法定遺留分を採用してからの遺言書に沿った相続となることもあります。

遷延性意識障害患者が遺言書を作成していた場合は、上記に準ずることになりますが、例外もあり得ます。

例えば、交通事故の時点では遺産もほとんどなく、貯金の10万円を妻に全額相続させて、子ども2人には何も相続させないと遺言書に書いていたとします。
子どもからすれば裁判所に訴え出ても、法定遺留分の10万円の半分、さらに相続割合の1/4になるため、1万2500円にしかならないことになります。

交通事故以前の時点では、その相続内容を了承していたとしても、交通事故で遷延性意識障害となり、示談を済ませて莫大な損害賠償金を受け取った後に体調が急変して亡くなった場合には、状況が大きく変わってきます。

裁判所も遺言作成時と死亡時の状況が大きく変わる場合には、遺言書は無効とする判断を下すこともあるため、遷延性意識障害患者が交通事故以前に遺言書を作成したという話をしていた場合には、成年後見人や相続人は注意が必要となります。

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