遷延性意識障害となり、加害者と連絡がとれない場合には
被害者が遷延性意識障害となる事故の場合、加害者の刑事罰や行政処分は重くなる可能性が高いです。
さらに加害者の方が高い過失割合の場合には、遷延性意識障害の損害賠償金は莫大なものとなるので、加害者がその重責に対応できない事もあります。
「交通事故の加害者が夜逃げ同然でいなくなってしまい、治療費などがもらえなかった」という話も少なからず聞きますが、意図的に遷延性意識障害患者の家族からの連絡を避けるといったこともあり得ます。
交通事故の被害者や被害者家族からすれば、日々発生する治療費や家族が生活していくための生活費に関連してきますのでまさに死活問題と言えますが、請求どころか相談する先すらも分からず、交通事故の損害賠償金を1円も受け取れないまま、泣き寝入りといったケースも存在します。
被害を最小限にするためにも、加害者が交通事故の対応をしてくれない場合の対処方法を順を追って説明してみます。
最終的には被害者請求で
1.加害者自身に連絡する
加害者の連絡先が分からないという場合には、自動車安全運転センターに交通事故証明書を発行してもらいましょう。
事故報告書には加害者の住所や氏名のほかに、連絡先が書かれている場合もあるので、電話もしくは、郵便で連絡しましょう。
郵便での連絡の場合は、配達証明など相手に届いているか確認できる方法をとりましょう。
2.自賠責保険に連絡する
交通事故証明書には、加害者の氏名や住所以外にも、加害車両の状況や加入している自賠責保険が記載されています。
そこに書かれている自賠責保険の保険会社に連絡をし、「加害者と連絡が取れないので、直接被害者請求したい」と言えば、加害者を通さず自賠責保険とのやり取りで損害賠償金を受け取ることができます。
3.加害者が加入している自動車保険会社に連絡をする
本来ならば、2の自賠責保険に連絡する前に連絡するのが好ましいのですが、実際には難しいです。
任意加入している自動車保険を知るには、加入者である加害者や自動車の所有者に聞く必要がありますが、連絡が取れない場合にはいかんともしがたいのが現実です。
また、一個人で加害者が加入している保険会社を調べることは、個人情報保護などの点から難しいと言えます。
そのため、弁護士を雇って調査してもらうのが現実的です。
任意の保険会社も、自賠責保険と同様に被害者の直接請求を認めているため、加害者を通さず遷延性意識障害の患者の損害賠償請求を行うことができます。
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遷延性意識障害となった交通事故の加害者に裁判を起こす利点は、損害賠償金などの増額があるが、欠点もあるため弁護士の相談の上裁判をするか決めた方が良い。
交通事故の示談交渉で保険会社から遷延性意識障害患者の余命は10年ほどとの主張がなされる時があるが、裁判所は平均余命を採用している。
最低限の賠償を補償するのが自賠責保険、不足分を補填するのが任意保険である。示談成立に時間がかかる遷延性意識障害では、被害者請求を利用しながら両保険金の受取法を選択すると良い。
18歳~64歳の遷延性意識障害患者は、介護保険等の公的な支援が受けられず、手当てが少なくなるため、加害者側に十分な介護費用を請求する必要性がある。
遷延性意識障害による損害を考えるうえで、平均余命の決定は避けられない。平均余命は賠償金の支払いを一時金賠償とするか定期金賠償とするかのメリット・デメリットにも影響し、慎重に検討する必要がある。