遷延性意識障害患者の2つの療養先でのメリットとデメリット
交通事故などでの遷延性意識障害患者の療養先は、大きく分けて医療機関と自宅の2つに分類されます。
病院や療養施設での療養は、医療設備が整ったところで、医師や看護師などの専門の方が24時間体制で看てくれるため安心感があるのと、仕事や看護人自身の健康状態の問題などで脊髄損傷患者の看護が十分にできない場合には、医療機関での療養となります。
しかし、「毎月の入院費が20万以上かかるケースが多い」、「交通事故で入院しても3か月しか入院できないので常に転院先を確保しなければならない」、「遷延性意識障害患者の受け入れ先が少ないため容易に転院先が見つからないこともある」、「家族が望む看護が十分に受けられない施設に入院してしまい、即時の転院を望んでもほぼ不可能」など、問題もたくさんあります。
そのため、自宅で看護をする「自宅療養」を選択する患者家族もいます。
遷延性意識障害患者が自宅療養をするためには、自宅の改装や介護用ベッドの導入、日常的なケアの習得、24時間看護のための人員確保など、多くの問題があるのも事実です。
しかし、それを差し引いても「住み慣れた自宅で面倒を見てあげたい」、「夫の介護は看護師などの他人ではなく、妻の私がしてあげたい」、「3か月ごとの転院が精神的なストレスとなっていたが、それがなくなった」、と利点も多く挙げる方もいます。
自宅療養をするための下準備
自宅療養をすると決めても、「はい、次の日から自宅に帰ります」とはゆきません。
患者自身が快適に過ごせるのはもちろん、介護する側もしやすい環境づくりをしなければならないからです。
一戸建て住宅ならば、なるべく1階の部屋を患者のための部屋にした方が良いです。
診察や散歩のために車いすに乗って外出したり、万が一の救急搬送時にも1階の方がやはり出入りしやすいからです。
理想を言うと、キッチン・洗面台・トイレ・お風呂と隣接した部屋の方が、食事の配膳がしやすく、排せつ物で汚れた時も処理しやすく、また、自宅で入浴できるように設備を整えた場合でも、動線が短く済みます。
そのため、家の中で一番広く水回りが集中しているリビングを、患者の看護スペースとされる方も多くいます。
また、最低でも介護用ベッドが必要になります。
最小限の機能でも、上半身を起こせて、体がずれないようにひざ裏の位置が折れ上がるベッドを用意する必要があります。
購入・レンタルともに利点があり、介護保険や自治体からの助成金があることもありますので、よく検討した方が良いでしょう。
他にも、家族だけで介護を行うと無理が生じることもありますので、訪問介護やホームヘルパー、往診してもらえる医師などを、事前に調べておくとよいでしょう。
交通事故による遷延性意識障害であれば、こういったことにかかる改装やレンタル費用も含めての補償金請求をするようにしましょう。
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遷延性意識障害患者は褥瘡が起きやすいため、交通事故で家族が遷延性意識障害となった場合、褥瘡予防効果のあるベッドやマットレスを用いると、体位変換の介護が容易になる。
遷延性意識障害患者を自宅介護する場合、家族だけが介護をするのではなく、職業介護人を用いてする方が負担が軽くなり、費用は加害者側に請求することが出来る。
遷延性意識障害患者が長期入院するには、医療制度から難しい面があるが、長期入院を実施している医療療養型病院もわずかながらにある。
交通事故の加害者側に、遷延性意識障害患者の自宅介護の費用を請求するには、患者家族がクリアしなければいけないハードルがいくつかある。
交通事故が原因の遷延性意識障害患者は、長期入院や施設入居が難しく、自宅介護を選ぶケースは多い。近親者介護、職業介護人の雇用、もしくは組み合わせも可能で、それにより損害賠償額の基準が変わる。