脊髄損傷の保険金 ~3つの仕組みについて~
一口に交通事故の脊髄損傷と言っても、頸椎の脊髄損傷による全身まひから、腰椎の脊髄損傷の軽い排尿障害まで程度に大きく差があります。
そのため、保険会社から支払われる保険金(損害補償金)も数十万円から数千万円、時として億単位であることもあります。
症状が重いほど保険会社から支払われる保険金が高額になるのは理解できると思いますが、同じ症状であっても支払われる保険金が数十万~数千万円変わることがあります。
なぜこのようなことが起こるかと言うと、交通事故の保険金の基準が3つあるからです。
1つ目の基準が、自賠責保険の支給額です。
自賠責保険は公道を走る車に対して強制加入なので、被害者に対して最低限の補償がされています。
そのため、実際に交通事故が起こり被害者に対する補償が足りない場合もあり、任意に自動車保険に加入する自動車保有者もいます。
2つ目の基準が、損害保険会社の自動車保険の支払額です。
これは、ほとんどが自賠責保険の保険金額に少し上乗せした金額になります。
なぜならば、自損事故による脊髄損傷は除きますが、保険会社から支払われる保険金は自賠責保険から支払われる保険金と併せて支払われるため、実質的な保険会社自体の負担は1割~5割と言ったことがあります。
保険会社も商売としているので、保険金の支払いは少ないほど良いと考えているため、出来るだけ保険金をおさえる傾向があります。
そのため、「交通事故でごねたら保険金額が上がった。」と言うのは、保険会社もある程度の金額に関しては交渉の余地を残しているため、最低限の金額を提示してそこから交渉を始めるからです。
最高金額の保険金を得るためには?
3つ目は、裁判所の判決による保険金額です。
裁判所は、原告(交通事故の被害者)の脊髄損傷の症状や脊髄損傷による将来的な損害、本人や脊髄損傷の家族に対する生活保障なども鑑みて保険金額の判決をしますので、3つの基準の中では最高額の保険金となる事が多くなります。
よくニュースなどで「交通事故の被害者に対して1億円の損害賠償金の判決」とありますが、問題は保険金額が高額なのではなく、保険会社からの提示額が低すぎると言うのが根本にあるからです。
多くの交通事故の脊髄損傷患者は裁判を嫌って、保険会社からの提示された保険金を受け取ってしまっています。
しかし、裁判をしなくても弁護士に依頼をすれば、裁判所の判決に近い保険金を受け取ることができます。
弁護士は保険金の算出に判例を用いるため保険金額が多くなるのに加え、保険会社が拒否すれば裁判も辞さないため、保険会社が圧倒的に不利となるためです。
裁判となった場合でも、敗訴すると裁判費用を支払わなければならないだけでなく、場合によっては保険金額の年5%の金利も上乗せしなければならなくなるため、保険会社からすると、「弁護士が介入しただけでも厄介なのに、裁判をされると余計な負担も増える」と、弁護士からの請求金額を素直に支払うケースが多くなるからです。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
交通事故による脊髄損傷の損害賠償金には、交通事故日から遅延損害金が課されるが、一般の示談交渉では支払われることがほとんどないため、弁護士から請求をしてもらうと良い。
交通事故による脊髄損傷の裁判で保険金が高額な判決となるのは、弁護士が脊髄損傷に関する請求を正しく計算し直すからである。
交通事故による脊髄損傷で弁護士に依頼する際には、契約書で依頼の範囲や内容をよく確認する必要がある。
交通事故で加害者側が自動車保険に加入していても、重度の脊髄損傷の場合は保険金額が足りないこともあるので、保険の内容を確認する必要がある。
交通事故により脊髄損傷となった場合、損害賠償請求の時効は交通事故日から3年であるが、後遺障害が残った場合は、症状固定をした日から3年というのが判例として残っている。