脊髄損傷となったのに診断が下りないケースとは?
最近の医療技術の躍進は目覚ましいもので、CTやMRIは精度が上がっただけでなく、患者を数ミリごとに撮影をして3D画像として患者の体内まで表示することができる機器もあります。
そのため、交通事故で脊椎損傷を負った個所の特定も容易となり、以前ならば脊髄損傷が見つからなかったであろう症例であっても、脊髄損傷と認められるようになりました。
ですが、交通事故後に脊髄損傷の症状があるにもかかわらず、医師の診断が「交通事故による医師の所見は無し」となる事があります。
患者からすれば、「交通事故後から右手が上がらなくなっていて、CTにも脊髄損傷の個所がみられると言っているのに、診断書に書いてくれないなんて詐欺だ!」と感じると思います。
「CT画像で脊椎損傷の箇所が写っているのに、交通事故による脊椎損傷であるとの診断が出ない」。
一見して矛盾する内容なのですが、交通事故における医学的見解からするとあり得るのです。
加齢によるものが考慮される
人は生まれてから身体的な成長をするのですが、おおよそ20代をピークに老化がはじまります。
脊椎においてもその例外ではなく、30代ですとほとんどの人に、老化による何かしらの脊髄の変形が見られます。
そのため、患者が高齢になればなるほど、自然に脊髄損傷となっている可能性が高くなり、特に部分的な脊髄損傷である不完全脊髄損傷であると、交通事故が起因するのか、交通事故以前からの脊髄損傷であったのか、診断が下せないことがあります。
このような場合には、医師は年代に応じた脊椎の変形や末端神経の損傷を考慮して、交通事故の受傷度合いを診断します。
ですので、首の部分の不完全脊髄損傷があり、同じような症状が出ていても、20代の患者であれば交通事故による脊髄損傷と認められ、60代の患者であれば交通事故による脊髄損傷として認められないということがあります。
とはいえ、患者本人からすれば交通事故前と比べて、不快な症状が出ているのですから、医師から「交通事故による脊髄損傷」との診断が出ないと納得が出来ないでしょう。
さらには、保険会社から治療費が支払われなかったり、後遺症が認められなかったりなど、以降の示談交渉が著しく不利となる事があります。
このようなケースでは、交通事故に精通した弁護士であると、医師との関わりあい方に関する適切なアドバイスをしてくれるため、交通事故の示談交渉も含めて一度相談をしてみると良いでしょう。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
脊髄損傷になったら、精度の高いMRI画像を撮影する、神経学的検査を受けるなどして後遺障害診断書に添付する証拠を集め、納得のいく後遺障害等級を認めてもらうのが望ましい。
脊髄損傷でセカンドオピニオンを受ける大きなメリットは、精度の高い診断を受けられる点である。
レントゲンやMRIなどの画像所見がない場合、医師が脊髄損傷と診断していても裁判所が認めない場合もあるため、裁判をする場合には事前に弁護士に相談をした方が良い。
脊髄損傷の中でも中心性脊髄損傷は、脊椎の骨折を伴わないので診断がむずかしい傷病である。正確な診断をしてもらうために、神経学的検査を受けると良い。
交通事故が原因で脊髄損傷を負った場合、精度の高いMRI画像を撮影する、神経学的検査を受けるなどして、納得のいく後遺障害等級を認めてもらうべきである。