脊髄損傷患者のメンタルケアでの必要性
交通事故で脊髄損傷となった患者は、体に大きな障害を抱えただけでなく、心にも大きな傷を負うことも少なくありません。
特に車いすや寝たきりを余儀なくされた脊髄損傷患者は、交通事故前の状態との落差にショックを受け、加害者との交渉どころか、自分の治療やリハビリにも取り掛かれないことがあります。
脊髄損傷においては治療も大事ですが、それ以上にリハビリに早期に取り組めるかどうかにより、今後の治療方針や生活方法が大きく変わる事となるため、より重要となります。
リハビリをする上で、なかなかうまく体を動かせなかったり、昨日出来たことが今日出来なかったりすることもあり、脊髄損傷患者の根気と忍耐が必要となります。
しかし、心に傷を負った脊髄損傷患者の場合、無気力になったり、自暴自棄になるケースも見られます。
そのような場合には、リハビリが思ったように進まなくなり、脊椎損傷の患者のみならず患者家族にまで、精神的な疲弊が及ぶことがあります。
メンタルケアで脊髄損傷患者を支える
そのため、一部の病院では医学的な治療やリハビリと並行して、メンタルケアを行っています。
傷病の治療には、患者本人の「治りたい」との意思が何よりも重要となるため、そのモチベーションを保つためにメンタルケアのプログラムを取り入れて、回復に役立てています。
脊髄損傷患者へのメンタルケアは、一般人が思い浮かべるような単なる励ましではなく、医療心療に基づき行われます。
悩みの相談に加え、精神不安や不眠症に対する投薬治療、リラクゼーションを目的としたマッサージ治療など、脊髄損傷の治療とはまた違ったアプローチがされます。
交通事故で脊髄損傷となった患者の中には、事故直後は脊髄損傷の治療やリハビリに対してかたくなに拒否をしていたのですが、メンタルケアを主体として治療を進めたところ、治療やリハビリに対しても意欲的に取り組んでくれるようになり、入院当時の予想よりも回復して退院をしたと言うケースもあります。
また、退院後で自宅療養となっても、メンタルケアの重要性は変わりません。
病院であれば医師や看護師・同じ病室の患者など、他人との関わりがありますが、自宅であると患者一人きりや患者家族のみとしか触れ合わないことも多いため、ストレスがたまりやすい環境となりがちです。
そのため、心療内科の通院や訪問診療などを定期的に受ける方が、精神保健的にも良いと言えます。
交通事故の脊髄損傷の保険会社との交渉ですと、怪我や将来的な生活の補償に目が行きがちになりますが、メンタルケアの面も含めた慰謝料に対しても考える必要があります。
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脊髄にかかる衝撃が保護している範囲の限界を超えると脊髄を構成する神経が傷ついて脊髄損傷になる。脊髄損傷となった場合には、まずは弁護士へ相談するのが望ましい。
脊髄損傷での患部回復の可能性はないとされ、治療では脊椎の安定、さらなる損傷の予防、リハビリ促進を目的とする。一方で、脊髄の再生を目指す医学的研究が続けられ、興味深い結果が出ている。
脊髄損傷の治療で、保険を適用して再生医療を受ける場合には、期限や条件があるため、治療を希望する場合には速やかに手続き等を進める必要がある。
脊髄損傷で行われる手術は、神経除圧術と脊髄固定術があるが、どちらも脊髄損傷を根本から治癒するものではなく、対処療法としての手術になる。
脊髄損傷となった場合、体の傷が治癒し始めると早急にリハビリ計画が立てられ、リハビリをしていくことになる。麻痺をした部分であってもリハビリテーションの有用性がある。