交通事故の被害者が損害を証明しないといけないのはなぜ?
【質問】
歩行中に交通事故に遭い、現在通院中です。
加害者の保険会社からの連絡が遅れ、ずっと通院代は自己負担していました。
過失割合は0:10なので、治療費は全額支払うと保険会社は言っていますが、領収書類の提出を求められています。
交通事故の後、医者の勧めもあり、会社の了承も得て1週間休みました。
会社を休んだり、通院のために遅刻したりして、減らされた給料に関しても損害補償すると言われましたが、指定の書面で会社に証明書を発行するように言われました。
その他にも、交通事故の時に壊れたカバンや腕時計に関しても、損害金額の証明書をつけろと保険会社が言っています。
こちらは被害者なのになんでこんなに面倒な手続きばかりしなければいけないのかと、保険会社に対して苛立ちを感じます。
加害者の方が一方的に悪いのに、なぜ被害者の方が交通事故による損害の証明をしなければいけないのでしょうか?
【回答】
交通事故の場合、どんな被害をこうむり、どれだけの損害金額が出ているか証明しなければいけないのは、被害者側になります。
なぜならば、被害者でなければ正確な被害金額が分からないからです。
加害者側からすれば、被害者の治療費がどれだけかかっているか、会社の給料がどれだけ減額されたか知るすべがありません。
被害者に「治療費は50万円かかり、会社給料は30万円ひかれました」と言われても、そのまま正直に支払う加害者も少ないでしょう。
仮に加害者と被害者だけの話し合いで、加害者がそれで納得すれば、支払って終わりになるでしょうが、保険会社が介入している場合にはそうはいきません。
保険会社としては、実際に被害者がこうむった損害にのみ支払いをしますので、被害者側は病院の領収書や会社の休業証明書などで、損害金額を証明しなければいけません。
治療費に関しては、病院と保険会社が連絡を取り合い、直接保険会社から病院に支払うことで、被害者の手間を減らしたりすることもあります。
しかし、基本的には交通事故でかかった費用のすべては、領収書や証明書類ベースになるため、被害者の方で損害金額を計算して請求する流れになります。
反対に言えば、被害者側から請求をしなければ、損害賠償金が支払われないだけでなく、交通事故から3年が経過してしまうと時効となり、加害者や保険会社に損害賠償請求ができなくなってしまいます。
そのため、面倒と思うかもしれませんが、保険会社が指定する領収書や証明書の提出は、忘れずにした方が良いでしょう。
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