身体障害者が交通事故に遭った場合の後遺症認定はどうなりますか?
【質問】
私は生まれつき左ひざ関節に障害があり、身体障害者5級の認定を受けていました。
1年ほど前に横断歩道を横断中に、赤信号で突っ込んで来た自動車を避けきれず、両足・背骨の骨折と頭部の打撲で緊急搬送されました。
緊急搬送された病院は偶然にも以前から左ひざの関節の診察でお世話になっていた病院で、交通事故の後遺症から左足は動かず、右足も重度の障害が残り、一生車いすでの生活になると言われました。
半年の入院をし、現在は通院しながら自宅療養をしていますが、診察してくれている医師から、身体障害者の等級を5級から2級で申請しなおした方がいいと言われました。
同時期に加害者側の保険会社から症状固定をして後遺障害認定を受けて欲しいと言われました。
もともと、身体障害者5級の障害がある私の場合、後遺障害の等級は5級なのでしょうか?
それとも新たに申請しようと思っている2級になるのでしょうか?
【回答】
身体障害等級及び後遺障害等級のどちらも、「級」と言う単位が使われるため混同されがちですが、全く別物です。
身体障害等級は身体障害者福祉法で定められた身体の障害に対して認定する等級であり、厚生労働省、つまり国が認めた基準になります。
一方、後遺障害等級は、損害保険料率算出機構という組織が、交通事故で負った後遺症の等級を定めたものですので、いわば民の基準です。
身体障害者の等級が1~7級であるのに対して、後遺障害等級は1~14級ありますが、リンクしているわけではありません。
つまり、身体障害者等級が5級でも後遺障害等級が5級とは限らないのです。
なぜ後遺障害等級が必要かというと、後遺障害の等級により後遺症に対する損害賠償金額が変わってくるからです。
自賠責保険の基準ですと、1級で1100万円、7級で409万円、14級で32万円となります。
では、交通事故時にすでに後遺障害があった場合にはどうなるかと言う事ですが、交通事故後の状態の障害等級からもともとの障害等級を差し引いたものが適用されます。
もし、以前に交通事故で14級と認定されていて、別の交通事故で4級と認定された場合には、損害賠償金額は4級のものではなく、14級分を差し引いた金額になります。
身体障害の場合は、もともとの身体障害等級と後遺障害等級を照らし合わせて参照とし、現在の後遺障害等級から差し引きます。
一例をあげると、「もともとの身体障害5級であるが、後遺障害等級的には7級。現在の後遺障害の等級は2級が相当なので、2級から7級を差し引いた約550万円」というような計算がされます。
しかし、後遺障害認定等級は医師の所見の他に、添付して提出する書類により上下することが多いため、交通事故による後遺症と認められないケースもありますので、事前に弁護士に相談することとお勧めします。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
交通事故が原因の脊髄損傷などの重度の障害を理由に婚約破棄された場合、加害者に対して慰謝料請求することができる。
慰謝料がいくらかは交通事故によるが、入通院期間と後遺障害等級で目安が決められている。最も高い弁護士基準での解決や増額の交渉は個人では難しく、弁護士費用特約や無料相談を上手に利用すると良い。
交通事故の被害者が治療を続けていると、一定の時期を迎えた時、加害者側の保険会社から治療終了の打診がある。まだ治療を続けたい意思があるのなら、主治医に相談するべきである。
交通事故が原因でPTSDを発症した場合、後遺障害として認定されることもあるが、近年は厳格化しているため、事前に交通事故に詳しい弁護士に相談した方が良い。
1回目の交通事故の示談前に、2回目の交通事故で死亡してしまうと、請求できる保険金額が変わってくるため、弁護士に依頼して交渉をしてもらう方が良い。