むち打ちでの入院・・・保険会社は認めてくれる?
交通事故で骨折や内臓に損傷がある場合などは、救急搬送後すぐに入院処置がとられることがほとんどです。
しかし、むち打ちで入院したという話は、あまり聞いたことがないと思います。
20年・30年前は「むち打ちでも入院しておいた方が、後の示談の時に有利」と、無理やり入院するような人もいましたが、現在はほぼありえません。
理由は大きく3つあるので、順に説明していきます。
1つ目は、むち打ちの多くは入院を要するまでの症状ではない点です。
むち打ちの大半は頸椎捻挫、つまり首の部分の捻挫です。
誰しも一度は足首の捻挫をした経験があると思うのですが、湿布を貼って1週間もすれば症状が改善したことがほとんどだと思います。
むち打ちの治療も同じで、患部に湿布を貼って、痛みが強いようならばロキソニンなどの薬が処方されますが、自然治癒での回復が基本です。
そのため医師も「むち打ちでわざわざ入院する必要がない」という診断になるのです。
2つ目は、保険会社が入院を認めないことが挙げられます。
交通事故では「むち打ち=入院するまでもない症状」という考えが常識なので、交通事故の被害者が強引に入院をしたとしても、入院にかかる治療費を保険会社が支払わないことがほとんどです。
保険会社が病院に直接医療費を支払っているケースでは、むち打ちの患者を入院させても、結局は患者本人に請求しなければいけないため、病院も積極的に入院させません。
3つ目は、病院によってはベッド数が限られているため、むち打ち症状の患者を入院させて、重篤な病状の患者が入院できないリスクを避けるという点です。
病院から入院を勧められたら要注意
しかし、病院によってはむち打ちでも入院を勧めるところもあります。
ひと口にむち打ちといっても、頸椎捻挫の軽いものから、筋肉損傷の激しいものまであります。
激しい捻挫の急性期(交通事故での受傷直後の期間)は、入院して療養した方がいいとの考えも間違いではないので、医師が勧めるのであれば入院した方がよいです。
ですが、むち打ちの急性期は1週間、長くても3週間までとみるのが医学的な見解ですので、それ以上の入院は保険会社は認めないでしょう。
最悪、事故調査員の詐欺行為ではないかとの調査も入りかねないため、注意が必要です。
また、むち打ちの症状でめまいや吐き気があるので入院するという場合には、保険会社でも意見が分かれます。
症状が激しく自宅での療養が難しいと判断し入院を認めることもあれば、めまいや吐き気などは自己申告の症状であることが多いので入院までは認めないということもあります。
もし、このような症状で医師から入院を勧められた場合には、事前に保険会社に医師の診断内容を伝え入院の許可を取った方がよいでしょう。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
むち打ちを後遺障害として認めてもらうためには、医師の助言のもとに定期的に通院治療をしつつ、怪我と治療に関する記録を残しておくと良い。
むち打ちの示談金の内訳は、『治療費』・『休業補償』・『通院(入院)慰謝料』が大きなものであるが、慰謝料以外は支払いや補填に使われるため、実際に被害者に残るのは慰謝料のみである。
医学的な画像診断が得られないむち打ちの場合、神経学的検査が行われることもあるが、絶対的な検査方法ではない。
交通事故でむち打ちとなった場合、その治療費を請求できる。しかし、むち打ちの治療は一般的に長くは続かず、途中で治療費を打ち切られるケースが多い。
交通事故により負ったむち打ちを後遺障害と認めてもらうためには、医師の助言のもとに定期的に通院治療をしつつ、怪我と治療に関する記録を残しておくと良い。