死亡事故の被害者請求をしたら保険金はいつ支払われるの?
交通事故に遭われ死亡した被害者の家族が、交通事故直後から経済的な困窮に見舞われるということがあります。
死亡事故の示談にあまり詳しくない方から、「自動車による死亡事故なのだから、保険会社から保険金がたんまり出るから、お金に困る事はないでしょう?」と言われることがありますが、これは半分正解で半分間違っています。
自動車による死亡事故の場合、最低でも自賠責保険により被害者は保証されますが、過失割合により減額されたり、そもそも運転手に対しての補償はないため自損事故では保険金はおりません。
死亡事故で過失のない歩行者に対する自賠責保険の補償については、最高3000万円までは支払われますが、実際に遺族が受け取るのは早くて死亡事故から1か月後になります。
生命保険の場合は、生命保険会社の保険金請求書とともに死亡診断書を添えて出し、内容に問題がなければ早ければ1週間~1か月で保険金が支払われますので、自賠責保険の方が遅いと言えます。
「自賠責でも1か月で支払われるのであれば良いのでは?」と思われるかもしれませんが、そう簡単なものではありません。
自賠責保険への請求は、被害者自身が書類を揃えて請求する『被害者請求』と、加害者側が請求する『加害者請求』があります。
実際に支払われるのはもっと先
「加害者が請求するのはおかしいのでは?」と思われるかもしれませんが、加害者が自動車保険に加入している場合には、保険会社が死亡保険金を一括して被害者遺族に支払います。
死亡保険金が自賠責保険の範囲内であれば良いのですが、自賠責保険の上限を超える場合は、保険会社が上乗せして支払う形になります。
そのため、保険会社(加害者)が被害者の代わりに自賠責保険に請求をするという方が、被害者も自身で書類を揃える必要が無く、保険会社も保険金の支払いがしやすいとして、多く用いられています。
しかし、この場合加害者側と示談が成立しなければ、保険金が支払われません。
万が一、加害者側と示談交渉がこじれて1年・2年と時間がかかった場合は、その間死亡事故の遺族に保険金が支払われないため、経済的な困窮の可能性が高くなります。
また、死亡事故の場合、通例で保険会社が連絡するのは、葬儀が落ち着く四十九日を過ぎてからになりますので、ぎりぎりで家計を維持している家庭などでは、住宅ローンの支払いが出来ないなどの危険性があります。
そのため、理論上では死亡事故直後に、遺族が書類を揃えて被害者請求すれば自賠責保険分は先に支払われるのですが、過失割合が加害者側と同意している必要があるため、被害者請求は簡単にいかないことがほとんどです。
被害者請求をしようと思うのならば、弁護士に相談をして進めていく方が良いでしょう。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
死亡事故における自賠責保険の支払いは、過失割合による独自の減額割合でなされるが、自分の過失割合が低くても相手への弁済が高額となる事もあるので注意が必要である。
賃貸オーナーの場合、収入は所有する不動産が生み出しているため、死亡事故で亡くなったとしても、逸失利益が認めてもらえないケースもある。
家族が死亡事故に遭った場合、警察や保険会社、あるいは葬儀社とのやりとりをしなければならない。それらの負担を抑えられるメリットがあるため、弁護士へ依頼するのもひとつの手段である。
交通死亡事故で相手側の損害保険会社と交渉する場合、冷静さを保ち話し合う必要があるが、それが無理だと感じたら弁護士に依頼をした方が良い。
死亡事故の示談金を保険会社が支払う場合は、最速でも死亡事故から3か月程度かかるので、金銭的な問題がある場合には早目に弁護士に相談をする方が良い。