死亡事故で加害者の減刑を嘆願したい場合はどうすればいい?
歩行者対自動車の死亡事故ですと、死亡した歩行者の過失が少なくなるため、『歩行者を死亡させた自動車の運転手が悪い。』という論調になりがちですが一概にそうとは言えません。
『認知症患者が徘徊をしていて、赤信号なのに横断歩道を渡り始めた。』、『死亡事故の被害者が泥酔して車道で寝てしまい、運転手が気付いて急ブレーキをかけたが間に合わなかった。』、『歩道と車道の間の柵に子供がふざけて腰かけたり登ったりしていたが、バランスを崩して車道側に落ちて車に轢かれた。』など、加害者を一方的に責めることができない死亡事故が実際に起きています。
上記のような事故であっても、『歩行者最優先』の観点から、過失割合は死亡事故の自動車の運転手の方が大きくされることがほとんどで、一見すると被害者にも過失がありそうでも被害者の過失は0という事もあります。
こういったケースでは、まれに死亡事故の遺族側から加害者の減刑の嘆願がされることがあります。
死亡事故の加害者が遺族側に誠実な態度で謝罪したうえで、遺族側が加害者の社会復帰をスムーズに行えるようにと願うというケースが多いです。
減刑の嘆願は示談金額に影響しない
死亡事故被害者の遺族が加害者の今後の社会復帰を考え、減刑の嘆願を行うのは人道的には素晴らしいですが、それにより示談が難しくなるのではという懸念があると思います。
実際、死亡事故の刑事裁判では遺族側と示談が終わっているかどうかも、刑の軽重の判断材料の1つとなります。
そのため、加害者側の弁護士などは裁判が結審するまでに示談を終わらせて、減刑を狙う手法は普通に使われます。
加害者側に自動車保険の担当がついている場合には、基本的に最低基準ともいえる自賠責保険の金額か、それに少し色を付けた金額を示談金額として提示してきます。
それだけでも、弁護士に依頼して算出される判例基準とは雲泥の差があるほど金額の差があるのですが、「加害者も誠実に謝罪しているから、保険会社の提示する金額でいいか。」と納得してしまうケースがあります。
遺族側から加害者の減刑嘆願を行うのであれば、結審までに裁判を終わらせておくとよいのですが、急ぎ過ぎて不当に低い金額で示談を済ましてしまうのは本意ではないと思います。
とはいえ、保険会社との示談交渉に時間を取られて、加害者の減刑嘆願に間に合わなければ意味はなく、ある意味ジレンマに陥る可能性があります。
その場合は、弁護士に依頼して保険会社との示談交渉を、速やかに終わらせるという方法が一番です。
示談の早期終了だけでなく、示談金額も判例ベースに沿って請求するため、被害者遺族の希望を満たすことができます。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
死亡事故の加害者側に弁護士がついた場合には、被害者遺族からすると「口達者な弁護士に押し切られる」といったケースに陥りがちなので、早急に弁護士に相談をして、対応策を考えた方が良い。
死亡事故に遭った被害者の遺族への対応によって、加害者の刑罰の軽重が変わる事があるので、弁護士に相談をして対応をどうするか考えた方が良い。
死亡事故の示談をした後は、ほぼ示談を取り消すことができないため、問題がある相手ならば、示談交渉をする際は弁護士に任せた方が良い。
死亡事故の被害者が示談交渉で困ったら、日弁連交通事故相談センターに無料で相談できる。日弁連交通事故相談センターでは、損害賠償額の計算や、過失責任と過失割合の相談などができる。
家族が死亡事故に遭った場合、加害者や加害者側の保険会社との示談交渉のほかに、法律関係の手続きや死亡事故の裁判、遺族の内紛などの問題があるので、弁護士に依頼する利点が多い。