死亡事故の示談をした後に、示談を撤回することはできるの?
交通死亡事故の場合、多くの人は初体験であるとともに、家族を亡くした心痛から冷静な判断が下せない場合があります。
死亡事故で弁護士に相談に来られた方の中には、加害者に対する憎しみで示談交渉がうまくいかないといった内容のほかに、「主人が亡くなって精神状態が不安定なのに、強引に示談を迫られて示談をしてしまったが、示談を撤回するために裁判をすることができますか?」というものがあります。
この相談に対する質問の答えは、「ほぼ不可能」と言えます。
示談というのは法的に効力がある物で、「金銭を○○円支払い、壊れた物品は修理して返しますので、示談以降はお互いに請求しない」ということを取り決めるものです。
ですので、示談をしてしまうとそれ以降に相手方に請求することはできません。
特に保険会社が介入している場合には、示談書の中に「この死亡事故に関して、今後一切の訴訟を起こさないものとする」との文言が入っているのが普通ですので、示談後に相手を訴えることはほぼ不可能です。
示談後にも民事訴訟できる例外がある
さきほど「ほぼ不可能」としたのは、例外があるからです。
脅迫で示談を強要した場合には、示談が無効になるほか脅迫罪・強要罪を問うことができます。
しかし、脅迫の事実を立証するには証拠が必要となってきます。
脅迫を予想してボイスレコーダーや第三者の立会いなどの手立てをしている人は、ごくごく一部であるため、立証が難しいと言えます。
もう1つが虚偽と錯誤になります。
簡単に例えて言うと、保険会社担当者が「死亡事故の示談金は8000万円です」と口頭で言ったにもかかわらず、示談書の方には3000万円と記載されていて、死亡事故の遺族が8000万円のつもりで示談書に記名押印したケースです。
保険担当者が分かっていて説明したのならば虚偽説明ですが、担当者もしっかり確認せずに8000万円だと思い込んでいたのならば錯誤となります。
示談の場合、虚偽説明や錯誤の立証は難しく、記名押印された示談書の方が優先されますので、示談内容を覆すのはかなり難しいと言えます。
最後が、著しく死亡事故の被害者に不利な内容の場合です。
自動車事故の被害者の場合、最低でも自賠責保険からの補償が受けられます。
そのため、死亡事故で自賠責保険の基準でも3000万円が受け取れるような状態なのに、300万円しか支払われないとなると、示談内容が圧倒的に被害者家族に不利ということになります。
個人間の示談交渉の場合、脅迫と併せて圧倒的に不利な条件での示談を強要されることがあります。
それを踏まえて、加害者に問題がある場合には、弁護士を雇って話し合いをした方が良いでしょう。
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加害者が補償内容の充実している保険に加入していないと、死亡事故の被害者遺族が弁護士に依頼しても、十分な損害賠償金が支払われないことがある。
子どもが死亡事故に遭った場合、最終学歴で逸失利益が大きく変わってくるため、遺族と加害者側で将来的な進学状況について争われることがある。
死亡事故の対応をご遺族で処理するのではなく弁護士に任せる事で、損害賠償金額が増えたり、各種手続きの手間が省けたりと、様々なメリットがある。
家族が死亡事故に遭った場合、警察や保険会社、あるいは葬儀社とのやりとりをしなければならない。それらの負担を抑えられるメリットがあるため、弁護士へ依頼するのもひとつの手段である。
死亡事故で弁護士を雇う利点は、公的な手続きを代行してもらえる、加害者側の交渉を任せられるので直接会わずに済む、保険会社と交渉して保険金の増額が望めるなどがある。