死亡事故において損害賠償請求できる逸失利益について
交通事故の被害者となった時、様々な項目において損害賠償の請求を行えますが、死亡事故や重大な後遺症を残す事故のような場合、被害者の将来的な収入が損失として生まれます。
被害者が交通事故に遭わなかった場合に、本来は得られていた収入や利益の事を逸失利益と言います。
死亡事故の場合には、被害者が働いていて収入を得ていたとすると、将来的に得るはずだった収入を請求できます。
しかし、注意しなければならないのは、逸失利益には控除が発生する点です。
例えば年収300万円の被害者が、定年まであと10年だった場合、単純に計算すると3,000万円の逸失利益が発生するように考えられます。
ですがもし、被害者が死亡事故に遭わず働いていた場合、当然、生活費が発生します。
亡くなってしまった事で生活費における支出がなくなるため、その部分を基礎収入から差し引く事で計算されるのです。
逸失利益の計算について
逸失利益の計算は、基礎収入額と「1—生活費控除率」を掛け、さらに就労可能年数に対応しているライプニッツ係数も掛けます。
まず、基礎収入額は、被害者の死亡事故当時の年収に関するものです。
就業状況によって内容がやや異なるため、注意しなければなりません。
例えばサラリーマンの場合、賞与を含む前年度の収入が基礎収入額となります。
それは手取りの額面ではなく、総支給額が基礎収入額として算出されます。
また、事業所得者の基礎収入額は、死亡事故に遭う前年度の申告所得額となります。
ただ、その額面が賃金センサスにおける平均賃金よりも低い場合ですと、年齢、職歴、稼働の状況などから賃金センサスの平均賃金として認められる場合もあります。
次に生活費控除率は、自賠責保険の支払い基準では生活費の立証が難しい場合には、被扶養者の人数が影響し、年間収入額や相当額と控除率を掛けて算出されます。
例えば、被扶養者が1人の場合には控除率は40%、独身の男性の場合には控除率は50%というように場合分けされています。
最後にライプニッツ係数についてです。
こちらは、年や月毎に受け取るはずだった収入を、逸失利益として損害賠償で一括して受け取ると中間利息が発生するため、その利益分を控除するものです。
その算出に使われるのがライプニッツ係数となっています。
逸失利益は、基礎収入額、生活費控除率、ライプニッツ係数を使用し、算出します。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
死亡事故に遭った場合、賠償金の一種として逸失利益を請求できる。しかし、生活費控除や過失割合、ライプニッツ係数等を考慮しつつ算出する事が必要で、専門家である弁護士に依頼するのが安心である。
賃貸オーナーの場合、収入は所有する不動産が生み出しているため、死亡事故で亡くなったとしても、逸失利益が認めてもらえないケースもある。
死亡事故の被害者が未成年であった場合は、18歳以上の給与所得者などとは異なる計算方式で逸失利益が計算される。
死亡事故の積極的損害と消極的損害は、受傷だけの交通事故の請求項目に加えて、葬儀代などの項目を追加して請求することができる。
死亡事故当時無職であった場合には、逸失利益を0円として保険会社は計算をしてくるが、裁判所の判断によっては逸失利益を認める判決が出ることがある。