交通死亡事故の現状について
警視庁発表による、2015年度の交通事故数は536,789件で、負傷者数は665,126人、死者数は4,117人に上ります。
ピークであった1970年の交通事故数は718,080件、負傷者数981,096人、死者数16,765人であったので、交通事故数は25%減、負傷者数は32%減、死者数は75%減になります。
交通事故の減少には、シートベルトの着装義務やヘルメットの義務化、飲酒運転の罰則強化などの道交法改正によるものが大きいですが、自動車のエアバックやABS、衝突回避自動ブレーキなどの自動車の安全性能の向上が挙げられます。
しかし、警視庁発表の交通死亡事故の死亡者数は「事故発生から24時間以内に死亡した人」の数であり、実際の死亡者数はもっと増えます。
交通事故後30日以内に死亡した人を合わせると、6,000人弱となります。
統計で死亡事故とはならなくても、被害者が死亡した場合には加害者は、過失運転致死傷、危険運転致死傷などの被害者死亡に準じた刑事罰を負うことになります。
高齢者の死亡事故
一方で、65歳以上の高齢者の死亡者数は2,400人前後をここ10年推移しており、2015年では2,247人の高齢者が死亡事故にあっています。
割合からすると、死亡事故の死亡者の半数以上が高齢者となります。
高齢者の死亡事故は、「赤に変わりそうなのに無理に横断歩道を渡る」「面倒だと横断歩道以外を渡る」といった、歩行者として死亡事故に会うケースがありますが、それ以上に増えているのが高齢者が運転者の死亡事故です。
近年では94歳の女性がひき逃げ死亡事故を起こしたにもかかわらず、「事故を起こしたかわからない」と警察の取り調べで自供したり、幼稚園児の死亡事故の72歳加害者男性は「高血圧でぼうっとしていた」など、加齢による状況判断や身体能力の低下を認識せずに事故を起こすケースが多くあります。
交通死亡事故の判例
交通事故、特に交通死亡事故に対して、近年厳罰化が進み、損害賠償金も多額となるケースが増えています。
飲酒や危険薬物を使用しての運転はのみならず、運転に重大な支障がある持病を隠しての運転に対して、「罪が軽すぎる」「飲酒運転でアルコールが抜けるまで隠れているなんて逃げ得だ!」という世論を受けて、2013年には自動車運転死傷行為処罰法が制定されました。
それと呼応するように、交通事故の損害賠償請求裁判も、被害者寄りの判決が下されることが多くなっています。
加害者が未成年や自転車による死亡事故であっても、多額の損害賠償の判決を下されることも少なくなく、保険加入の重要さが再注目されています。
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加害者が補償内容の充実している保険に加入していないと、死亡事故の被害者遺族が弁護士に依頼しても、十分な損害賠償金が支払われないことがある。
仕事が忙しくて家族の死亡事故の賠償金について話し合う時間がなかったら、弁護士を代理人にして保険会社と示談交渉をしてもらうのが望ましい。
自動車保険と一口に言っても、補償対象が特約により細かく分類され、補償の条件が細かく指定されているので、死亡事故のような大きな事故であっても保険金が支払われないこともある。
加害者が分からないひき逃げの死亡事故であっても、政府保証事業による救済や加入している自動車保険の補償内容によっては、補償金が支払われる。
死亡事故で亡くなった人と特に親しい近親者は、近親者慰謝料を請求できる可能性があるが、近親者慰謝料を請求するには、精神的な苦痛を受けたことを実証する必要があるため、弁護士に相談するほうが良い。