死亡事故でも加害者が刑務所に行くとは限らない理由とは
死亡事故の被害者家族の中には、「加害者は家族を殺した殺人者だ!」と強い怒りを持たれる方もいます。
死亡事故の場合、加害者には「自動車運転過失致死傷罪」や、飲酒運転などの悪質性がある場合にはより重い「危険運転過失致死傷罪」が刑事罰として科されることになります。
自動車運転過失致死傷罪で最高7年、危険運転過失致死傷罪で最高20年の懲役が科される可能性があります。
自動車運転過失致死傷罪や危険運転過失致死傷罪の最高刑が懲役であり、懲役よりも軽い禁固刑の場合は刑務所に収監されますが、罰金刑の判決が下りた場合には刑務所に入りません。
(懲役と禁固の違いは、刑務所内での服役作業(刑務所内での仕事)が懲役では義務であるが、禁固では義務ではなく任意となります)
また、懲役や禁固刑が科されても、執行猶予がつけば直ちに刑務所に服役する必要はなく、執行猶予期間が過ぎれば懲役や禁固刑は免除されます。
加害者に重い処罰を望む場合には
そのため、死亡事故の加害者のすべてが刑務所に収監されると思われがちですが、実際には死亡事故の加害者の数%しか刑務所に服役しません。
また、死亡事故を起こした直後でも、事故の状況に悪質性がなく逃走の可能性が低い場合には、自宅で待機となる事もあります。
死亡事故の被害者家族からすれば、ずいぶんと緩い加害者の処遇と言えますが、交通事故の特殊性というものがそこには関係しています。
日常生活で起こる他人を死に至らせるような事件は、加害者が明確に傷害や殺人の意思を持って、被害者を襲うと言うことが大半です。
それ以外では、「打った打球が偶然頭に当たった」とか、「うっかり、ベランダから落とした植木鉢が通行人に当たった」など、偶然性や不注意によるものです。
裁判でも「殺意」の有る無しにより大きく刑罰や量刑が変わるため、死亡事故でもこれが重要視されます。
自動車は数トンの鉄の塊が時速数十キロで走るため、簡単に人を傷つけたり、死に至らせたりします。
そのため、運転手のちょっとした判断ミスが、死亡事故につながることがあります。
運転手側からすれば「道路上に酒に酔って寝ていたなんて、真夜中だったし避けようがない」と言った状況でも、過失致死傷に問われてしまうのです。
つまり、加害者が道路交通法を順守して運転しても死亡事故を起こすことがあり、殺人事件の犯人とは状況が違うと言うことが挙げられます。
しかし、死亡事故の被害者からすると「量刑が軽すぎる」という声を受けて、飲酒運転や過度のスピードオーバー、蛇行などの危険運転による死亡事故に関しては重い量刑を課すことが多いです。
そのような場合には、死亡事故の逮捕後から警察に拘束され、そのまま懲役や禁固に科されるため、刑期を終えるまで一度も一般社会に戻ることがないこともあります。
「死亡事故での加害者の対応」に関してのみんなの質問
母が交通事故で死亡し、死亡事故から3日後に通夜を営んでいたところ、加害者がやってきました。
加害者には強い憤りを感じたのですが、それ以上に死亡事故を起こした本人が警察に拘束されることなく、自由に歩き回れていることに非常に驚きました。
死亡事故の加害者なのに、なぜ警察には捕まらないのでしょうか?
交通死亡事故の場合、通常の殺人事件とは違い、偶発的な要因で起こることが多くあります。
「ブレーキが遅れた」「雨でタイヤがスリップした」など、ちょっとした不注意などから死亡事故が起こってしまいます。
そういった死亡事故では、警察も事情聴取のために48時間は加害者を拘束しますが、事件性がなかったり、加害者に重大な過失責任がなかったりする場合には、48時間後には釈放されることがほとんどです。
よく勘違いされるのが、「警察が逮捕=罪が確定」ではなく、警察は被疑者を確保して調書などを作成し検察庁に送検して、そこからさらに裁判所に起訴して、裁判所が無罪・有罪判決をすることになります。
つまり、裁判所で判決が出るまでは被疑者であり、罪は確定していません。
そのため、警察や裁判所などが、「被疑者の逃亡の可能性が低く、また死亡事故の悪質性が低い」と認めた場合には、一時的な釈放もあり得るということになります。
1カ月前に娘が自動車による死亡事故に巻き込まれたのですが、加害者や加害者の関係者から一切の連絡がありません。
死亡事故の被害者遺族の私たちからすれば、きちんと謝罪をしてもらいたいのですが、どうすれば加害者と会うことができるのでしょうか?
交通死亡事故において、加害者が被害者遺族に、被害者遺族が加害者に連絡をしたいと希望されることもあります。
しかし、死亡事故の場合、加害者が警察に拘束されている間は、加害者の家族であっても直接面会をすることはできません。
加害者と接見できるのは加害者が雇った弁護士のみになりますので、加害者と被害者遺族の双方が望んでも、直接会うことは不可能と言えます。
また、加害者が保釈中であったとしても、加害者が被害者遺族との面談を拒否すれば会うことはできませんし、反対に被害者家族が拒否することができます。
人道的には納得できないかもしれませんが、加害者と言えども法で守られているため、加害者に意見を言いたい場合には、刑事裁判や死亡事故で民事裁判を起こし、その場で陳情することになります。
裁判での陳情をしたい場合には、法律や手続き上の問題もあるため弁護士に相談をした方が良いでしょう。
自動車で死亡事故を起こし、今は保釈され自宅で謹慎をしています。
被害者の方とは知り合いで、住所や電話番号なども知っています。
被害者の家族の方にお詫びをしたいと考えており、電話をしてから直接謝罪にうかがいたいと思っています。
保釈中に被害者遺族と謝罪のために会うことは許されるのでしょうか?
保釈中はいろいろと行動制限があり、守らない場合には警察に再び勾留されることがあります。
一般的な交通死亡事故の場合、加害者に重い行動制限がかけられることは稀ですが、被害者遺族への接見禁止が条件としてあるのであれば、会うことはできません。
また、被害者遺族が加害者からの電話や面会要求などで恐怖感を感じ、警察に通報されれば逮捕される可能性もあります。
そのため、被害者への連絡は弁護士を雇い、ワンクッション置く方が良いでしょう。
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死亡事故で逮捕されると、取り調べと送検を受けて最短で3日、最長で23日以内に不起訴か起訴かが決まる。起訴されれば裁判を経て量刑が決まる。
死亡事故に遭った被害者の遺族への対応によって、加害者の刑罰の軽重が変わる事があるので、弁護士に相談をして対応をどうするか考えた方が良い。
死亡事故の加害者は、事故発生後に逮捕された場合、最長23日間拘留され、その後、起訴するか不起訴か検察が判断する。加害者の減刑は、被害者との和解が重要視される。
保険会社は、自分たちに都合の良い判例を参考にして過失割合を主張することが多い。死亡事故の過失割合に納得できなかったら、弁護士に相談して十分な証拠を揃えて反論すべきである。
死亡事故の加害者は、事故発生後に逮捕される。最長23日間拘留され、その後、起訴するか不起訴か検察が判断する。加害者の減刑は、被害者との和解が重要視される。