遷延性意識障害の示談金交渉において参考になる高額の判例
交通事故で遷延性意識障害となったとき、保険会社から示談金額の説明をされても、それが妥当なのかどうか判断するのは難しいものです。
交渉方法として、裁判をした場合の損害賠償請求を前提とすることで示談金を増額できるケースがあります。
ここでは交渉の参考となりうる、3億円以上の高額な損害賠償金を認めた判例を紹介します。
まずは、被害者が将来有望な若者であったことが考慮され、逸失利益や付添看護費が高額となった事例です。
●平成19年 大阪地方裁判所における判例
被 害 者>高校3年生の女性
被害態様>遷延性意識障害、脳挫傷(後遺障害等級1級3号)
事故態様>信号点滅状態の交差点で、自動車と自動車が衝突
総損害額>3億2975万9084円
(将来付添看護費1億977万5575円、逸失利益7625万1948円、
傷害慰謝料700万円、後遺障害慰謝料2800万円、
両親固有の慰謝料各400万円)
●平成23年 名古屋地方裁判所における判例
被 害 者>20歳の男性(大学生)
被害態様>急性硬膜下血腫、遷延性意識障害および四肢体幹運動障害など
事故態様>被害者がふざけてボンネット上に伏臥している状態で、車両を発進させ、ボンネット上から転落
総損害額>3億7829万1792円
(将来付添看護費1億5903万8917円、逸失利益1億1455万8209円)
有利な交渉のためには弁護士に依頼
30代の方でも、3億円以上という高額な賠償請求が認められ、示談金が支払われたケースがあります。
●平成18年 千葉地方裁判所における判例
被 害 者>37歳の男性(郵便局アルバイト)
被害態様>四肢麻痺、四肢関節拘縮、遷延性意識障害(後遺障害等級1級3号)
事故態様>路上駐車車両を追い越そうとした際、対向車線上に立っていた歩行者と衝突
総損害額>3億2392万9539円
(将来付添看護費1億3441万1340円、逸失利益7244万1811円)
この損害賠償額から、過失割合による控除、弁護士費用や自賠責、任意保険の既払い控除などが差し引かれるわけですが、それでもより多くの損害賠償金を確保できるという先例となります。
これらの損害賠償請求は、裁判を通して判決がなされたものであり、最低限の補償制度である自賠責基準や、保険会社が支払う任意保険基準ではとうてい望めない金額です。
遷延性意識障害の介護ではかかる費用が多く、高額の資金を準備できるに越したことはありません。
そのためには、先述のような裁判所基準の損害賠償金を例に示談金の交渉できる専門の弁護士に依頼する必要があります。
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遷延性意識障害となった被害者は意識不明のため主張ができず、加害者の言い分に沿った過失割合での示談成立になりがちなため、弁護士と相談してきっちり反論する必要がある。
最低限の賠償を補償するのが自賠責保険、不足分を補填するのが任意保険である。示談成立に時間がかかる遷延性意識障害では、被害者請求を利用しながら両保険金の受取法を選択すると良い。
交通事故における示談交渉には時効が存在する。遷延性意識障害を負った場合も例外ではなく、しっかりと期間について意識しておく事が、損害賠償を請求する際には重要である。
交通事故の遷延性意識障害の示談の場合、示談のタイミングが難しいのと示談金額の交渉が難しいため、弁護士に任せた方が良い。
遷延性意識障害患者の在宅介護を保険会社や裁判所に認めさせるためには、無理のない在宅介護のプランを立てる必要がある。