死亡事故による逸失利益の計算に必要な収入証明について
死亡事故で加害者側から支払われる補償金のうち、大きな割合を占めることがあるのが逸失利益です。
逸失利益とは、死亡事故の被害者が平均余命まで生存していた場合、得られたであろう収入のことを指します。
逸失利益の算出には様々は要因が絡んでくるのですが、その中の一つに死亡事故の被害者の収入証明が重要となってきます。
同じ30歳男性の死亡事故でも、年収1000万円の人と年収250万円の人では、単純計算で4倍の差があることになります。
保険会社も死亡事故の被害者や被害者遺族による自己申告の収入で逸失利益を計算していたら、不正の温床ともなりかねないため、収入証明の書類を提出することを厳密に定めています。
サラリーマンや公務員などの給与所得者の場合には、「源泉徴収票」が使われますが、「就職して間もないため前年度の源泉徴収票がない」、「今年に入ってから昇級して給料が大幅に増えた」などといった、前年度の源泉徴収票がなかったり、大幅な増収があったりした場合には、会社に「収入証明書」を発行してもらうことになります。
給与所得者以外の収入証明は?
給与所得者以外の収入証明は、職種により変わってきます。
自営業者の場合は、「確定申告書」もしくは「納税証明書」になります。
創業1年目や、非課税の範囲であるため確定申告をしていない場合には、帳簿や売上が確認できる銀行の入出金明細、取引先との見積書・納品書・請求書・領収書などを総合的に判断して、収入を計算することもあります。
農業従事者の場合には、確定申告している場合には自営業者に準じますが、確定申告をしていない場合などは、農作物の売却による粗利から1/3を経費として差し引き、2/3を収入とした判例もあります。
兼業農家の場合には、農業以外の収入も合わせることができます。
高校生以下の未成年の場合は、賃金センサスの男女別平均賃金から算出します。
死亡事故の被害者が、進学で高名な高校に在籍していて、その学力が大学合格に足りるというような場合には、大卒の平均賃金が適用されることもあります。
主婦のように無収入であるが家事に寄与している、日雇い労働者で収入の証明が困難である、漁師など収入が安定していないといった場合には、先にも書いた賃金センサスの男女別平均賃金から算出します。
アルバイトなどで、賃金センサスの男女別平均賃金よりも実収入が低い場合には、賃金センサスの賃金を収入とすることも出来ますが、保険会社が認める可能性はかなり低いため、弁護士から交渉してもらうのが、現実的だと言えます。
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専業主婦の死亡事故でも、賃金センサスにおける逸失利益の計算が裁判でも認められ補償が支払われるが、保険会社が提示する示談金と大きな差が生じることがある。
死亡事故の示談交渉で必要となる書類は、交通事故証明のほかに多数あるため、示談をスムーズに進めるためにも事前に取得をしておくと良い。
事故直後の死亡でなかった場合に死亡事故とみなすかどうかでは、事故と死亡事実との因果関係が争点になる。死亡事故からの経過時間に関わらず、因果関係の有無、損害賠償の割合を検討すべきである。
賃貸オーナーの場合、収入は所有する不動産が生み出しているため、死亡事故で亡くなったとしても、逸失利益が認めてもらえないケースもある。
交通事故の損害賠償金は被害者のものであるが、死亡事故の場合は被害者が死亡しているために、相続人が損害賠償金請求の権利を有することになる。