加害者に裁判費用や弁護士費用を請求することはできますか?
【質問】
妻が買い物からの帰り道に、わき見運転をした自動車に後ろからはねられ、背骨を折る大怪我を負いました。
医師から脊髄損傷との診断が下されており、一生車いすでの生活になるだろうと言われました。
加害者ですが事故当初から態度が悪く、「妻が飛び出てきた」と嘘を言ったり、事故現場にたまたまあった防犯ビデオから嘘がばれると、「あー、運が悪い。」と言い放ち、全く反省が見られませんでした。
加害者側の保険会社から交渉の打診がありましたが、加害者の態度を思い出すとその気持ちが起きないだけでなく、保険会社から提示された補償金額が低すぎて話しになりませんでした。
そのため、妻とも話し合い、弁護士に依頼して加害者や保険会社を相手取って裁判をしようかと考えています。
ですが、ネックとなるのが弁護士費用や裁判費用で、裁判すると何百万もかかると聞いたことがあります。
しかし、裁判に勝てば相手から裁判費用や弁護士費用が取れるとも聞いたことがあり、0:10の交通事故のため思い切って依頼しようかと悩んでいます。
裁判をして勝った場合、本当に相手側から弁護士費用や裁判費用をとることができるのでしょうか?
【回答】
交通事故の裁判の場合、裁判費用や弁護士費用を損害として裁判所が認めることが多くなっています。
裁判所の判断を分かりやすく説明すると、「裁判する前に、原告が被告とちゃんと話し合って認めていれば裁判にならなかったのだから、余計な出費となった裁判費用や弁護士費用は、負けた方が負担しなさい」と言う事になります。
ですが、弁護士費用などは無制限に認められるものではなく、損害賠償金額の10%程度を弁護士費用等として認める判例がほとんどです。
質問者様のように過失が全くなく、勝訴の確率が非常に高い場合には、弁護士によっては依頼者から手付金や中間金など、保険会社から損害補償金が支払われる前の費用を不要とし、保険会社から損害補償金など支払いがあった時点で、裁判費用や弁護士費用を清算するところもありますので、「お金がかかるから」と裁判をあきらめる必要はありません。
また、裁判を前提してのご依頼かもしれませんが、懲罰的な意味合いで保険金の増額を考えておられるのでしたら、弁護士が介入した時点で達成していると言えます。
なぜならば、保険会社が提示している補償金額は「保険会社基準」と呼ばれる、自賠責保険にほんの少し上乗せした金額ですが、弁護士が算出して保険会社に請求する金額は「裁判所基準」の金額になるため、ほとんどの場合で増額となり、場合によっては3倍~5倍の金額になる事も少なくありません。
保険会社からすれば、「弁護士を雇われてしまい、裁判をしても勝てない上に、保険金も大幅アップしなければいけない」と一番嫌なパターンのとなるため、一番効果的といえます。
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交通事故での加害者がどのような刑事処分となったかを被害者が知りたい場合には、検察庁に問い合わせをする必要がある。
交通事故の加害者に、誠意ある謝罪をされないと、被害者の心は癒されない。その場合には、少しでも多くの慰謝料を請求するよう対応するのが、納得いく結果を得るためには必要だと考えられる。
交通事故でひき逃げに遭った場合、加害者が明白の場合とは違い、保険会社とのやりとりができない。場合によっては政府保障事業制度を利用するなど、被害者の救済措置を利用する方法がある。
交通事故で加害者が複数いる場合には、共同不法行為の考えから加害者の一人に対して全額の損害賠償請求をすることができる。
交通事故で入院した場合、医師から治療の必要性により指示があるなどでないと、個室利用料を加害者に対して請求することはできない。