歩行者が貨物車と接触し頭部強打、高次脳機能障害により後遺障害が認定され2927万円を獲得した事例(重次法律事務所)

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解決事例のご紹介

歩行者が貨物車と接触し頭部強打、高次脳機能障害により後遺障害が認定され2927万円獲得した事例

事例提供:重次法律事務所

【事例】
1 事故概要
横断歩道を横断中の歩行者(一人暮らし・80代老齢女性)が、貨物自動車と接触し転倒、頭部を強打し、高次脳機能障害により、別表第一第2級1号の後遺障害が認定され、合計2927万円を獲得した事例

2 後遺障害認定まで
(1) 自宅近所の横断歩道を徒歩で横断中に、交差点を右折してきた中型貨物自動車と接触し、転倒、頭部を強打し、救急搬送される。
(2) 救急搬送された病院で、小脳挫傷及び外傷性くも膜下出血と診断された。搬送時の意識レベルはJCS10、小脳挫傷による水頭症を発症し、一時、意識レベルはJCS20まで悪化した。その後の治療により、退院時の意識レベルはJCS1桁に回復するも、認知症状が著しく、意識障害が遷延した。
(3) ①大脳の症状が残る可能性がある、②症状の改善が見込めないこと、③小脳を損傷しているので、一人で生活することはできないだろうと主治医の見解を聞く。
(4) 被害者の長女を後見人候補者として、後見開始の審判を申立て、後見開始の審判がなされる。
(5) 転院先の病院でリハビリ入院中、ベッドから転倒し左大腿骨転子部骨折の傷害を負うこともあった。
(6) その後のリハビリで、症状が安定したので、施設入所に併せて、症状固定とし、自賠責保険へ被害者請求を行う。
(7) 被害者請求の結果、頭部外傷後の障害について、別表第一第2級1号、右股関節の機能障害について12級7号の等級認定される。

3 当事務所で行った手続
(1) 成年後見開始の審判申立て
依頼者である被害者の長女から相談を受け、入院している被害者に面会しました。被害者は、我々を弁護士だと認識できず、突然、訳の分からない話をしだすといった状態でした。
そのため、被害者の長女を後見人候補者として、家庭裁判所へ成年後見開始審判の申立てを行いました。家庭裁判所は、被害者の長女を後見人とする審判を行いました(後見監督人として、弁護士が選任)。
(2) 刑事告訴
事故状況について、加害者の当初の話しと保険会社の話しが食い違ってきたため、刑事告訴を行いました。
本件では、被害者が事故状況を証言することができなかったため、事故状況について、加害者の証言のみが証拠となります。捜査機関に、慎重に捜査することを促す意図で告訴を行いました。
(3) 自賠責保険の被害者請求(後遺障害等級認定)
救急搬送された病院から、①画像、②初診時の意識障害についての所見を早期に取付けました。
転院先の病院で、③後遺障害診断書、④神経系統の障害に関する医学所見、⑤脳損傷又はせき髄損傷による障害の状態に関する意見書の作成をお願いし、取付けました。
被害者の長女と次女から聞取りを行い、日常生活報告書を作成しました。これらの資料を自賠責保険会社へ提出し、被害者請求を行いました。
(4) 示談交渉
自賠責保険から2427万円の保険金を受領しましたが、任意保険会社と示談交渉を行い、500万円で示談が成立しました。
過失割合が争点になり、保険会社は、85:15を主張していましたが、最終的に、90:10で示談を成立させることができました。

【弁護士からのアドバイス】
記事提供者:重次法律事務所

1 高次脳機能障害の後遺障害の認定は、家族の協力が必須です。他の障害と異なり、被害者自身に自覚がないことがあるからです。
また、通常、医師は、患者からの訴えによって症状を把握します。しかし、高次脳機能障害の場合は、患者からの訴えがないので、主治医は、症状に気づきにくいということがいえます。
そこで、家族が被害者の症状に気づき、主治医に情報を伝える必要があります。

2 被害者の症状によっては、本件のように、成年後見の申立てを検討する必要があります。
成年後見の申立ては、交通事故の損害賠償と手続としては、まったく異なります。しかし、成年後見申立ての際に、裁判所へ提出した資料を交通事故の損害賠償に活かすこともできます。

3 頭部外傷による高次脳機能障害については、事故後なるべく早く、弁護士に相談することをお勧めします。
しかし、家族が症状に気づいた時には、事故から時間が立っていることもありえます。そのため、交通事故で頭部外傷を負い、救急搬送された時に意識障害があった場合は、弁護士に早期に相談するのが良いでしょう。
本件は、事故後、すぐに弁護士を選任した事例です。事故後、すぐに弁護士を選任したことで、救急搬送された病院からの資料の取付け等がスムーズに行き、その後の後遺障害の認定につながったと思います。 

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